スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←雑記:意外な発見 →雑記:記憶処理のはなし
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png キャラクター
総もくじ  3kaku_s_L.png 読みきり短編
総もくじ  3kaku_s_L.png イラスト
総もくじ  3kaku_s_L.png 雑記カテゴリ
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手お返事
【雑記:意外な発見】へ  【雑記:記憶処理のはなし】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

「読みきり短編」
【30のお題】シリーズ

1.居場所もしくは存在意義(30のお題)-5

 ←雑記:意外な発見 →雑記:記憶処理のはなし

 いったいどこに雨が来るんだろうと思うような照りつける太陽のもと、カーラアブルは皆と手分けして嵐に備えていると、舳先で見張りに立っていた青年が近くで作業をしていた見習いの少年を捕まえ、何か伝言するとその少年が操舵室へ走っていくのが見えた。
 カーラアブルも先ほど見たものが気になり、何となく後を追う。
「蒼く光っておるじゃと?」
 何年経っても縦揺れの被害を一番にこうむっている師マギが、いつもの精細を欠いて青い顔でぐったりと座っていたが、少年の報告に身を起こした。
「はい、見張りに立っている縫帆手のカルーフからの伝言です」
「おぬしは見たのかね?」
「いえ、僕は伝言を頼まれただけです」
 確かめに行かねばならんのか、などと愚痴をつぶやきながらひどく大儀そうに起き上がろうとする師を止めるように「オレが見たよ」とカーラアブルが口を挟んだ。
 操舵長、セフィード、マギ、そして少年の視線がカーラアブルへと集まる。
「フォアトップからテレスコープで見た。掌帆長がいたから何だろうって聞いたんだけど、クラゲか何かじゃないかって」
「だいたいでいいから位置がわかるか?
 セフィードがテーブルの海図で説明するように促した。
「雨雲の下の1時の方向だけど……、長く見ていたわけじゃないから断言できないけど、何となく動いていたような気もする」
「海域的には半島がまもなく途切れるあたりだけど、オディールの支配海域というわけでもないな」
 セフィードが海図を見つめたまま、顎に指を添えて思案げに呟く。
「まあ海なら各地に魔物はいるが、できるなら避けたいものじゃな」
 師マギは船酔いの具合の悪さと相まって、ため息まじりの唸り声を漏らした。
「精霊だけではなく、魔物とも交渉できる術士が欲しいところだな。じぃさんが魔導師だったらよかったのに」
 カーラアブルが呟くと、師マギが青白い顔でうつむいたまま視線だけを上げ、誰に対するでもなく無言で頭をゆっくり横に振った。
「カーラ、魔術と精霊や魔物を扱う道士とは違うよ。
 帆は降ろしたので、殆ど停止しているに近いけど、魔石の力を最大に上げて半島側に回避しては? 雷雨は仕方ないにしてもあの得体の知れないモノは何とか距離をおきたい」
 セフィードの提案に操舵長も頷いて同意する。
「ワシに働けと言うんじゃな、ルシャーティ」
「それが可能であるならば、いまの最善だと思います、師マギよ」
「えぇい、老人使いの荒い奴らめ。地獄に落ちるがいい! カーラ、マジュヌーンを呼んでこい! そのあとお前は香木を用意しろ」
 カーラアブル驚いたように目を大きく見開いて、一つ瞬きすると返事の代わりに大急ぎで走り出てた。
 師マギは魔導師ではないが、多少の呪文の詠唱をすることは可能だ。魔法は人ではないものと交信する才能の部分も大きいが、魔術の呪文とは正しい古語の発音と、呪文が及ぼすものへの構造、素質、影響の真の意味を理解していることが重要で、彼はその部分に長けている。
魔術と魔法を共に極め操れる者を魔導師というが、実際その境界は実に曖昧で人の認識も先ほどのカーラアブルのようなものだ。
 『狂気』という意味のマジュヌーンは船医の通名だが、彼は多少の魔法の才をもち、過去に短期間であるが師マギの弟子だった時期と、オディールで魔術の勉強をしていたこともあるらしく、この船の中では一番それに近い存在でもあった。
 カーラアブルからすれば、昼夜逆転で夜中しか活動していない船医など、それだけで十分魔物っぽいと常々思っていたが、ヴィーラも師マギも彼のことを優しい人間だと言うので、しかたなく魔物っぽさ半分で思うことにしている。
 彼らの役目は、魔石の能力を高め一時的に最大の力を引き出す呪文を詠唱することだ。相応の体力を消耗するであろうし、師マギの体力には厳しいだろうが、得体の知れない魔物と対峙することを考えれば選択肢はあまりない。

 魔石というものは、かつて神々が戦い、聖族と魔族に分かれた『聖戦』と呼ばれる出来事を境に、世界各地どこでもある珍しくもないものだ。それらは戦いで砕け散って世界に四散した彼らの名残であり、当然持っていた力の大きさによって残存する能力はさまざまだった。本当に小さな石ころから、宝石として通用するような美しいものまであり、単に光を発する何の害もないものもあれば、ある程度の守護をするもの、その石があるだけで周辺を疫病に陥れるものすらあった。冒険者ギルドに行けば、それらを集めるかあるいは害をなすものを浄化する仕事もあるほどだ。
 そしてその魔石たちは、使用に応じていつか力の名残は失せるので、たいていは集められて魔力の強い土地に埋められる。何十年何百年と眠りにつき、再び力を取り戻し人の生活の役に立つのだ。
 この船にも、船倉の一番最下層にゾラの占い玉ほどの魔石が置かれている。カーラアブルの目には、握りこぶしほどの単なる石にしか見えないし、もし道端のどこかに落としてしまえば二度と見つけられる自信がないようなものだ。
 普段は何に使われているわけではないが、海洋上で風が完全に凪いでしまったときに、動力となって船を動かす。初期投資は安いといえないが、大勢の漕ぎ手を養うよりもずっと安上がりで、従順というわけだ。
 いつもならばあらかじめ力を作動させられる呪文を掘り込んだ台座に置けばいいだけだが、今回はスピードを上げて大陸よりに移動したいので、師マギとマジュヌーンがもっと力を出させるために負荷をかけるような呪文を施すのだろう。

 カーラアブルが医務室にたどり着く前に、前方から白い長衣姿のマジュヌーンがやってきた。そして説明しようと顔を見上げるよりも早く相手はそれを制し「わかっています」と頷いてみせる。
「ヴィーラにも来てもらってください。振り香炉には君と同じ名の物入れて持ってくるようにと。先に船倉に行ってます」
「さっきも言われたけど、どうして香がいるんだ?」
「呪文の効力と石の力を助けるんですよ」
 マジュヌーンは薄く微笑んでそう言うと、ふわりと白い長衣の裾を翻して最下層へ降りる階段に姿を消した。カーラアブルが一言も説明することなく用件が伝わっていたので、やはり魔物に違いないと思いながら甲板へ大急ぎで戻る。それはお使いを急ぐというよりも上下の揺れが強くなってきたので、さすがにぐるぐると目が廻り始めたからだった。
 ヴィーラは甲板で索具の点検をしていたが、何か気になるものがあるかのように船の前方を見やり、何もないことを確認してまた作業に戻ることを繰り返していた。
「ヴィーラ! マジュヌーンが魔石のところに来てくれって! それと……ええっと、振り香炉にオレの名前のやつ」
 カーラアブルの曖昧な伝言に苦笑しつつ、ヴィーラは両手を払って立ち上がる。
「伽羅だな。師マギは?」
「もう行ってると思うけど、船酔いで具合悪そうだった」
「さもありなん、だ。俺もこの状況で船の最下層なんてまっぴらなんだがな」
 そういいながら大またで甲板を横切り、物置きのガラクタから振り香炉を探し、次に香木を探す。その後ろにカーラアブルはついて廻りながら
「ヴィーラは何のために呼ばれたのかな? 魔石から怪物でも出たときに退治?」
 と尋ねた。
「そんなことあるわけないだろう? 力が足りないときの補助だろう」
「力仕事?」
「剣だ。ああそうか、お前は船の魔石のちからを強引に引き出した場面に立ち会ったことがないか」
「うん、ない」
「船酔いで吐いたら叩きだすが、見に来てもいいぞ」
 カーラアブルはぱっと嬉しそうな顔になると、そのままヴィーラに着いて船倉の最下層にまでついていった。
 が、すぐに後悔することになった。
【続】



あとがき▼


魔法、魔術、魔導の区別ですが、本文中の解釈はこの作品の世界においてものです。
他の作品や一般解釈とは異なる場合もあるかと思います。あしからずご了承ください。

魔法→素質が必要。霊力のようなもの。精霊や自然から力を借りることができる。
    その上で古語の理解、超自然のものとの契約、取引が必要。相手によっては契約による服従なので油断すると命に関わることもある。本人の素質方向しだいで、得て不得手もある(例:本人が炎属性が得意なら、水属性は苦手など)


魔術→理(ことわり)を学べば、ある程度は使えるもの。化学とか錬金とかに近い。
    大きな術は詠唱者本人の体力を削る。
    札や道具などに術の効果を閉じ込め、使うことができる
    
魔導→両者を極めたもの。ゆえに、魔導師。

魔法にしろ魔術にしろ、詠唱には古語の知識と大変な集中力と精神力が必要。

関連記事

 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png 読みきり短編
総もくじ 3kaku_s_L.png イラスト
総もくじ 3kaku_s_L.png 雑記カテゴリ
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png キャラクター
総もくじ  3kaku_s_L.png 読みきり短編
総もくじ  3kaku_s_L.png イラスト
総もくじ  3kaku_s_L.png 雑記カテゴリ
もくじ  3kaku_s_L.png 拍手お返事
【雑記:意外な発見】へ  【雑記:記憶処理のはなし】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【雑記:意外な発見】へ
  • 【雑記:記憶処理のはなし】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。