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「読みきり短編」
人外関係

ラストダンスは私と

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「そのようなことをご依頼いただいても、私は探偵でははないのですが…、ミスター」
 シェリダンは右の眉をいささか吊り上げると、興味がないように肩をすくめ、窓辺の花瓶で咲き誇るバラに目をむけた。
 夕暮れの柔らかな光が、純白の花と彼の頬をほのかに染めている。
 その容貌は二十代前半、悪くすれば十代にも見えるが、長くのばした前髪でおおわれそうな闇色の瞳は、あまたの歳月を数え、多くの死をみつめてきたように静かで深い。
 透き通るように白い肌にネービーブルーのスーツが上品に映え、持ち前の貴族的な雰囲気とあいまって、話の内容に興味を示さぬ姿はひどく高慢でもの憂げだったが、依頼人の青年は必死に食い下がった。

「お願いします。思いつく限り、骨董を扱う店にはあたりました。そして皆、貴方に聞けと教えてくれた。僕にはもう、頼れる人がいないんです。
 貴方はコレクターであると同時に精神科医だ。患者の頼みとしてでも、受けて下さいませんか?」
「精神科医ね……。では、私が患者を選ぶということもご存知ですか? 貴方の症状をお話なさい。私でなければ手に負えないなら、一考しましょう」
 相変わらず熱のこもらぬシェリダンの言葉に、青年は黙ってうなずいた。
 線の細さを感じさせるシェリダンとは対象的に、堂々たる体躯の持ち主で、今は悲しみに曇る容貌も、本来ならば精悍な表情で前を見つめているだろう。
 綺麗な歯並びの口許をほころばせて笑う姿は、女性を引き付ける魅力に溢れているに違いない。

 だが、今はそんな青年の魅力は微塵もなかった。
「音楽が…聞こえないんです。正確に言うなら、オルゴールの奏でる曲が。
 もちろん、医者にかかりました。でも、答えは同じ。聴覚に異常はなし」
「私以外の精神科医にかかりたまえ」
 間髪を入れずに返された素っ気ない答えに、青年は一瞬躊躇したが
「……200年前からです」
 と、低くつぶやいた。
「ほう?」
 シェリダンはそこで初めて話に興味をそそられたように、30分前から目の前に座っている青年を見た。
「オルゴールが聞こえないのに、オルゴールを探せとは面白い。
 で、200年も生きるきっかけとなったのは?」
「妻を……この手で殺してからです」
 青年が苦悩の表情を浮かべて話し始めた内容に耳を傾けながら、シェリダンは見向きもしなかった名刺に視線を滑らせた。


 ガートルード・リーエンアーク。深い悲しみと絶望感は、200年もの月日が過ぎた様に感じさせるのだろうかと、シェリダンは腕を組んで男を吟味するように見つめた。


 時代はあと数年で新世紀を迎えようとしている、世紀末だった。
 人々の生活が便利になっていくのが時の流れというものだが、あらゆる技術の向上と人の意識レベルの向上が、必ずしも比例するとは言えないのも事実だ。

 むしろ、密かに深く病んでいる部分が増えていくこともある。

 シェリダン・ナーディル・オストヴァルト。

 彼はその部分に関わる、少し変わった医者だった。
 この屋敷は騒々しい都会から隔絶され、時間が止まったかのような景色が広がる私設病院だ。
 緑したたる森と、なだらかな起伏に富んだ丘、水鳥が羽を休め、魚をついばむ湖を敷地内に持ち、建物の部分は古いにもかかわらずよく手入れが行き届き、いにしえの城を思わせる壮麗さと落ち着きがある。
 吹き抜けの高い天井から吊された、クリスタルのシャンデリア、計算しつくされた優美さの曲線を描く階段、繊細な彫刻が彩る窓や壁、そしてさりげなく配置された美術品。
 人影もまばらで、言われなければ病院と気付かないだろう。
 それほど豪華で快適な空間だった。
 どの病院も、『ドール』とよばれる人間そっくりの自動人形を何体も使っているにもかかわらず、ここにはそれに準ずるものすらない。
 いや、病院だけでなく巷にはドールが溢れ返るようになって久しいが、シェリダンはそれを嫌った。
 神を真似するように、おのれの姿に似せて、絶対服従する存在をつくり出した人間の傲慢さに、とうてい迎合できなかったからだ。
 今の時代、人の手によるサービスは最上のそれを意味する。
 わずらわしい日常から隔絶されたこの場所に、金持ちたちはこぞって静養を兼ねた入院を希望したが、院長であるシェリダンはすべて丁重に断り、必要ならばほかの病院への紹介状を書くことで拒絶した。

 人の手で余裕をもってまかなえる人数しか受け入れないのは、営利目的という点から見れば、ずいぶんと下手な経営だが、患者を選ぶシェリダンの方針とはちょうどいい具合だった。
 それに、どこからか援助があるのか、資金は潤沢に用意されており、金策に行きづまったこともない。
 彼はこの屋敷に患者を住まわせ、じっくりともつれた問題をほぐし、新しい人生を与えるのだが、彼自身が選ぶ患者の数も決して多くない。
 それはシェリダンが探している症例が、ありふれたものではないからだ。

 彼は世間で言う、異常殺人の犯罪者から患者を選ぶ。

 シェリダンいわく、『闇の血に目覚めたもの』。

 それがこの病院の入院資格だった。
 そして同時に、彼は膨大な量のアンティークのコレクターだ。
 博物館の陳列室にあってもおかしくないような品々が、屋敷のそこかしこに置かれている。
 芸術的に優れた絵画、彫刻、装身具から、有名ないわく因縁のまとわりついたものまで多岐に渡り、骨董業界で彼の名前を知らないものはないほどだ。
 吹き抜けの玄関ホールの両わきを飾る花瓶を、市の博物館が欲しがっているのは有名な話だった。
 それには四季折々の花が贅沢に生けられ、今なお使われている。
 形あるものはいつか壊れるのだから、それに逆らうことはしない。
 作られた物の役目をまっとうしてこそ価値があるのだから、水も漏らない花瓶を、ガラスケースの陳列箱に収めるような真似はできない…と、シェリダンは言うのだ。
 そして博物館の職員が青くなったり赤くなったりするのを楽しみながら、「ヒビが入るとか、欠けるとか、どちらかが割れたら差し上げましょう」と笑うのだった。






   そんなシェリダンを頼ってきた青年の話によれば、妻の名はクローディア。
 今から約200年前に大恋愛の末、結婚した。夢のように幸せな時が過ぎ、最初の結婚記念日に、二人でオルゴールを注文した。
 それはワルツを奏で、いつかステップを覚えて二人で踊ろうと約束し、オルゴールの音色を楽しんでは幸福を実感する品でもあった。
 だが、その日々に影が差す。
 ある日ガートルードは庭先で倒れ、医者から不治の病に侵されていると宣告を受けるのだ。
 その時彼は、28歳。突然目の前に突きつけられた自分の死に対処するには、まだ若すぎた。
 昨日まで問題なく生きていた体が、着実に蝕まれていることすら信じられなかった。
 そして、その先に口を開けて待つ『死』も。
 確かに、若い時とは永遠に続き、老いが他人事と無関心でいられた若さはないが、死の準備をするにはあまりに未熟だった。

   緩慢に病に冒されていく恐怖のあまり、何の不調も自覚できない時は、全てが夢ではないかと何度も思った。
 己の不幸を嘆き、残さねばならぬ妻のことを悩み、何故こんな運命を背負わねばならないのかという、やり場のない怒りに暮れた。

 人は必ず死ぬものだと頭で理解しても、自分のもとにやってくるのが早過ぎる、という悔しさは拭えなかった。
 それからの日々は、ただ時間を無駄に浪費し、クローディアは涙に明け暮れる。
 思い出を1つでも多く残そうと思い立ったのはクローディアだった。
 彼女は、ワルツステップを覚え、幸せを象徴するオルゴールの曲に乗って、ラストダンスを踊りたいと思ったのだ。
 彼女にすれば、絶望の余り全てを見失った夫に、最後の夢を与えようという思いだったのだろう。
 だがその思いが、自暴自棄になっていた彼の心にあらぬ誤解を育て、妻を殺すきっかけを作った。


 彼女が自宅に人を呼んで、ステップを習っているのは知っていたが、死を秒読みされたガートルードにとって、ワルツなどどうでもよかった。
 それよりも、妻の手をとって踊る男に気を取られた。
 自分が死ねば、いずれ妻は別の誰かを愛するだろうということを頭でわかっていながら、心はそれを激しく拒絶した。
 俺を忘れないでくれ……。
 俺を一生、愛していてくれと……。
 少なくとも生きている間には、妻がほかの誰かを愛することなど許せぬことだった。
 愛しいクローディアと共に生きられぬ口惜しさが、猛烈な嫉妬心を育てた。
 講習が4回目に及んだ時、ガートルードはステップを教える男を追い返そうと、脅すつもりで銃を片手に客間へ赴いた。
 そこで彼が目にしたのは、最後の楽章を優雅に踊り、パートナーにくちづける妻の姿だった。
 男にではなく、妻に向かって引き金をひいた。



 銃声が虚しく響き、その場の時は止まった。



   男を殺したところで、妻が違う誰かを愛するのを止めることはできない。

 しかし、それはどうしても認めがたいことだった。

 許せないことなのだ。

 クローディアを愛している。
 命尽きるその瞬間まで…、いや、それからも永遠に。
 そして、彼女にも自分だけを愛し続けてほしい。
 おのれの死後すら、自分だけのものにしたいから、妻に銃口を向けたのだった。
 クローディアの胸に血の花が咲き、彼女は驚愕に満ちた目で夫を見つめたが、床に頽おれる前には微かな微笑をみせた。
 後はよく覚えていないが、正気に返った時に男の姿とオルゴールがなかった。


 その日から彼の時間は止まり、死は遠い存在になったのである。
 そして、その手にかけながら、今も妻への愛は色褪せていない。






「その男、覚えておられますか?」
 シェリダンは再び熱のこもらぬ口調で質問した。
「いいえ。ただ、とても貴族的な男でした。
 頭に血が昇っていたのに、彼が魅力のある男性であることは冷静なほどわかりました。
 だからなおさら、その魅力に嫉妬し、妻を取られまいと思ったのです」
「髪は漆黒、瞳は紫、抗えぬ魅力を持った男?」
 シェリダンは思い当る人物がいるようなくちぶりでつぶやく。
青年は記憶から欠落した男の容貌に、曖昧に首を横にふってうなだれた。
 シェリダンは軽く頬杖をついて、うちひしがれたような青年をじっと見つめる。
「成功報酬は高くつきますよ。お金は頂きませんがね」
 試すような言葉すら、彼には救いに聞こえるようで
「何なりと。僕にはもう失うものはありません。信じてもらえなくても、僕は200年を孤独に生きてきたのです。老いることも死ぬこともなく…。
 そう、まるでヴァンパイアみたいに」
 と自嘲気味に笑い、肩をすくめた。
 シェリダンはやや揶うように片眉を上げて、「血はお好きですか?」と平板な調子で尋ねたが、その口調のせいか少しもジョークには聞こえなかった。
 青年も戸惑ったように苦笑するだけだ。
「うちの病院には人狼や食人鬼がいますからね、貴方がヴァンパイアでもいいんですよ」
 やはりユーモアというものがまったく感じられない態度で言い添えると、姿勢を正して机上のペンを取り上げた。

 それが鑑定に価する美術品とでも言うようにじっと見つめ、向きを変え、視点を変えて手の中でもてあそび、青年のことなど忘れたのかと思わせる時間を沈黙した。
 やがて唐突に顔を上げると、そのペンで机をコツコツ叩きながら
「で、オルゴールの曲は?」
 と、質問した。青年はシェリダンの軽妙なペンの動きをぼんやりと見つめつつ、
「ヨハン・シュトラウスの『美しく青きドナウ』」
 と力なく答える。
 その答えに、シェリダンはようやく人間らしい驚いた表情を見せてペンを置くと、心当たりがあると言いたげに立ち上がり、黒耀石の瞳で青年を招いた。
「最初にそれを聞けばよかったかもしれないな。こちらへどうぞ」



 青年は贅を尽くした広間に通され、しばらく一人で待たされたが、やがてシェリダンが華奢なワゴンに漆黒のビロード天鵞絨で覆われた物を乗せて入ってきた。
 青年は静かに息を呑み、視線が釘付けになった。四つの金の車輪が、カタカタと乾いた音をたてて近づいてくるのも、もどかしそうだ。
「悪魔の契約と言うものを信じられますか」
 シェリダンは青年の前にワゴンを止めると、期待に満ちた視線をワゴンの上に注ぐ青年を見た。
 あえてそれを無視して話を続ける。
「奥さんは、魂と引き換えに貴方を不老不死にした。運悪く、契約のくちづけを見て、貴方は逆上したと聞いていますが……」
 彼は淡々と説明すると、話の一部さえ耳に届いていない熱心さでワゴンの上の物を見つめる青年をひたと見据え、ひと呼吸おいてから、マジシャンを連想させる鮮やかな仕種で黒い布を取り払った。

 深紅の裏地がひるがえり、そこに隠されていたものが現れる。

 ひとかかえもある大きなローズクォーツの箱に、繊細で精緻な彫刻を施した美しいオルゴール。
「ああ、クローディア……。神よ、感謝します」
 青年は感極まったように一言つぶやくと、オルゴールを抱擁するために身をかがめ、薄紅色の冷たい箱にそっとくちづけた。
「神はそんなに親切じゃありませんよ」
 シェリダンは感激の渦にある青年を冷たく一瞥する。
「ドクター、どこでこれを?」
 神に苦悩を救われた者は、きっとこんな満ちたりた表情をするのだろうと思える顔で、自分を冷静に見つめるシェリダンを仰いだ。
「知り合いの貴族悪魔」
 青年の晴れやかな面持ちとは不似合いな言葉を、シェリダンはにっこりと上品に笑いながら言った。

 その笑みに、再びユーモアらしいものを捉えられなかった証拠に、青年はいぶかしげに首を傾げる。
 そんな反応をからかうように眺めながら、シェリダンはポケットから銀色の鍵を出してオルゴールのねじをゆっくりと巻きだした。
 キリ、キリ、キリ……というゼンマイの音が、再び青年の意識をオルゴールに集中させた。
  と、その時、朗々とよく響く声が割り込んだ。

 ベルベットの滑らかさを持った、バリトン。
「愚かだね。愛する者を助けるために命を投げ出し、それによって残された者がどれほど悲しむか考えない。寿命が100年ぐらいしかないからできる愚考だと思わないか、シェリダン?」
 シェリダンは特別驚いた様子もなく、窓辺に目をやった。
 いつ入って来たのか、いつからそこにいたのか、深紅のビロードばりの猫足椅子に、テールコートに包んだ長身を沈める男がいる。男は官能的な指を組むと、紫の目を細めて、200年を生きた青年に同情するような視線を投げた。
「貴方はことのほかこれを気に入っているから、心配になって出て来たな? デューク(公爵)」
 シェリダンは少し意地悪な口調でそう言うと、唖然としている青年の前でそっとオルゴールの蓋を開けた。

 透明な響きで、『美しく青きドナウ』の旋律がこぼれる。

 だが、青年の耳にはやはり何も届かなかった。
 肩を落とし、力なく首をうなだれる。以前に増して、失意の色が濃くなる。
「どうせ、我々の耳でないと音楽は聞き取れない。人間に渡したりなんかしないから、帰ってくれ。
 貴方がいると仕事がやりにくい」
「つれないこと、この上ない」
 男は苦笑すると優雅に立ち上がり、何が起こったのかわからぬ表情の青年に魅力的な微笑を投げかけた。
「人々が願ってやまぬ不老不死、君は愛の証しとしてそれをクローディアから貰ったのに、少しも幸せではないようだね」
 そう言うと、テラスへと続くガラス戸を開けて、出ていった。
 それを無言で見送ったシェリダンは
「今の男、見覚えありませんか? まあ、なければそれでいいんです」
 と、どうでもいいような態度で問うてから、続けた。
「このオルゴール、人間の耳には聞こえませんよ。何せ、悪魔が惚れ込んだ代物ですからね。
 そして貴方は、このオルゴールの曲を聞き取れぬ限り、どんなオルゴールの曲も耳にできない。
 それが、不老不死のささやかな代償です。
 でも、私は貴方を救える。医者として」
 シェリダンはそう言うと、唇の両端を上げて、誘うように白い手を差し出した。

 青年はシェリダンの話をぼんやりと聞きながら、魔法をかけられたように微動だにせずその手を見つめていたが、
「貴方には聞こえるんですか? あなたがたは何者なんです?」
 と、うつろな視線をシェリダンの目にむけた。
「あなたと同じですよ、ガートルード。あなたがこの曲を耳にする時には、同じものだと理解できるでしょう」
 そう言って微笑むシェリダンは、つい先程までの彼ではなかった。

 表情…、そう、その表情は青年のうちひしがれた魂を揺さぶるほど、蠱惑的だった。

 闇色の瞳はキラキラと輝き、全身から立ちのぼる雰囲気がセイレーンの声のようにガートルードの警戒心を溶かす。

 どうやってこれを手に入れたのか、聞いていない。

 悪魔の契約だのという戯言も信じていない。

 だが、自分は現に200年を生きてきた。不老不死は、愛するものを手にかけた呪いだと思いつつ。

 そして、共に生きる相手を見出せぬまま孤独に。それは事実なのだ。

 ここに探し続けたオルゴールがある。

 医者はそれを聞かせてやると言う。

 これに勝る喜びが、あの日以来あったか?

 否。

 失うものはもう何もない。何を恐れ、警戒するのだ?
 もはや抗うことすら浮かばず、それが当然のようにシェリダンの手をそっと取ると、忘れ得ぬ旋律が頭の中によみがえった。
 何度も何度もステレオで聞いた、『美しく青きドナウ』。
 ゆったりとした河の流れを、管弦楽で限りなく優雅に再現されていると感動した、最初の数小節。妻の死後ステップを覚え、一度たりとも誰かと踊ったことのない円舞曲。
 ガートルードは記憶の音に聞き入るように目を伏せ、陶酔したようなしぐさでシェリダンを引き寄せると、どちらからともなくゆっくりと、滑るようにワルツのステップを踏み出した。
「貴方が人間としてのラストダンスです。報酬をいただいた暁には、このオルゴールが奏でる音をプレゼントしますよ」
 シェリダンはそう言うと、愛を囁くような熱さでガートルードの目を覗き込み、恋人にくちづけるように赤い唇を首筋に這わせ、探していたものを見つけたように牙を沈めた。




あとがき▼


「君をディナーに」に引き続き、シェリダンのお話です。
 これも前作同様に10年以上まえの古いものでして、このときのテーマは「プレゼント」でした

 ブログ村からいらっしゃった方は「どこがBLくさいのっw」って思われたかもですが、最後まで読んでいただければ「ああ、これかw」というのがおわかりいただけるかと。たぶん……^^;

 当時はまだクリスタローシュというシェアリングはしておらず、単に近未来のヴァンパイア話になってますが、彼らの登場する世界観はそのまま引き継がれました。

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