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「読みきり短編」
人外関係

神威なる生贄

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ご注意! こちらの小説は同性愛的なものを思わせる表現があります。苦手な方は回れ右でお願いします。
大丈夫な方は引き続きどうぞ。

時系列的に既出の「地の底で嗤え」の後になります。

読んで無くても何となくわかる程度には書いてあるので、大丈夫かと。
キャラはこちら http://crystarosh.blog.fc2.com/blog-entry-48.html
この間からイラスト描いてる二人です。http://crystarosh.blog.fc2.com/blog-entry-104.html


ここからどうぞ▼


 聖界で大規模な叛乱が起こり、のちに聖戦と呼ばれ壮麗な城を頂く魔界が誕生するが、その戦いの直後は決して華々しい幕開けではなかった。
 冥界、人界、聖界と三つに分かれていた世界は、反乱を起こした神々により、冥界に魔界という新たに広大な空間を作ったが、あくまでも生き延びるためであり、およそ快適とは言いがたい場所だった。冥界からの邪悪な生き物を地上に出さぬ役割も負う空間だ。
 灼熱と極寒、濃霧と毒を含んだ土壌、生き物。それらを魔力で改良し淘汰し、貴族たちが悠然と住まう場所になるのは時間が必要だった。

 一番の理由は、堕天後、暫くは力ある魔貴族ふくめ全てが傷を癒す必要があったからだ。肉体的な変化、喪失、変異、あるいは精神的に蝕まれた者が多くおり、それに耐え切れぬものは命を消していった。休戦を結んだといえ、当然のごとく聖界からは助けの手は無い。
 地上の夏といえば生けるものが生命を謳歌する季節だが、魔界ではただひたすらに高温で微毒を含む霧が発生し、弱ったものの命を奪った。元は高位で力のあった聖族であれ、倒れ二度と立ち上がれぬものがいた。
 デキウスの負った傷は痛みこそ激しいものだったが、幸いにも殆ど回復のために深い眠りについていたためその激痛を舐める時間は短かった。その眠りが途切れた理由を、晴れぬ靄のかかったような頭で思い巡らす。
 金属の何かが石の床に当たる音で、今度ははっきりと覚醒した。途端に激痛が身を裂いたが、警戒がそれを押さえ込む。あれは何か武器が床に落ちた音だ。
 そう、旧友がいない。
 その手で、見間違い出なければ恍惚とした高揚を目に浮かべて、デキウスの翼を引きちぎった男が。
 そしてずっと背に感じていた彼の手――分け与えるエネルギーがないために、痛みが眠りを破ったのだ。

 苦痛とも懊悩ともつかぬ押し殺した声が聞こえ、デキウスは隣室へと影を辿らせる。
 むき出しの床に落ちた短刀、点々と滴った鮮血。この血のにおいは旧友のものだ。
「――来るな」
 床に両膝を着き、こちらに背を向けたまま闇の気配を感じたらしいルベウスが威嚇のような低い唸声で制した。
 頭を、いや顔面を片手で覆い、何かを押し殺すように肩で息をしている。
 来るなと言われて立ち止まるようならば、共にこの場所に来ることもなかっただろう、とデキウスは心の中で嘲笑(わら)った。
 言葉にならぬ喘鳴で、背が痙攣したように見える。
 背の傷が新たに裂けているのではないかという痛みを無視して、旧友の髪に触れかけ、思わず弾かれたように留まった。
 聖族の気。なぜそれがこの地であるのか理由がわからないが、ただそれが聖族の気というだけで髪が逆立つ思いがする。
「じきに済む。来るな」
 しかしそれはすでに命令ではなく、哀願に近い色を帯びていることにプライドの高い旧友は気づいているのだろうか?
 デキウスはそこに聖族の気があるのが我慢できないという理由で自分を納得させ、背後からルベウスの頭を掻き抱いた。
 手負いの身に聖族の気が堪えるが、ここは魔界だ。
 闇の気が聖族の気を散らしていく。
 そして腕の中でルベウスが身を震わせる。
 それが押し殺した慟哭であると気づくのに、しばし必要だった。
「どこか痛むのか?」
「お前ほどでは……なかろう」
 こちらを向かせようと頬に触れ、ぬるりとした感触に顔を顰める。涙ではない。
 抗わずこちらに顔を向けたルベウスの右半分は血で塗りつぶされていた。そして眼球を抉り取ったあとの眼窩から血と光が溢れている。
「来るなと何度いわせる……」
「聞く耳を持たん」
 デキウスはルベウスの頭を抱き寄せると、血塗れた頬に舌を這わせて拭う。目から溢れる聖族の光は、デキウスの闇に押されながらも新たな眼球を形作っていく。
 どうやらそれが激痛を引き起こしているらしく、ルベウスは唇を噛んだまま唸った。唇の薄皮が破れる。
 顎の関節に指をかけ、無理やりこじ開けると唸声に怒りが混じる。しかしもう絶叫を堪えることができず、ルベウスの喉から咆哮が溢れた。
 ルベウス自身の血に染まった舌を差し込めば、ぎりぎりと食いちぎる勢いで応じてくる。彼の持つ小さな牙は、とうにデキウスの舌を穿っていた。
 口腔にお互いの血が混じり唇の端から零れる。
 デキウスが新たな傷が増えるのを覚悟したと同時に、不意にルベウスの力が抜け、弱く背を抱き返してきた。
 顔を離して覗き込むと、デキウスの記憶どおりの薄蒼い眼球が再生されている。
 ルベウスは諦念したように両目を伏せ、意識を手放した。


 深夜にルベウスは意識を取り戻し、先ほどの乱れたことなど微塵も残っていない落ち着いた動作で右目を布で縛った。
 傍らの気配に、デキウスも薄目を開けて旧友を見上げる。
「それは負傷したのだと思っていたが……」
「そうだな。確かに神矢を受けた。鏃が眸を抉った」
 ルベウスはそう呟くと、息を吐いてデキウスを見下ろし、詫びるように血で汚れたままの口元を指先で拭った。
「傷自体は数日で癒えたが、再生した眸は私のものではなかったのだ」
「聖族の気を感じた」
「うむ」
 ルベウスは頷くと、続けた。
「エウシェンは矢を放ち言った。『その眸でお前の愛する美しいものを愛でるがよい』と。これならば視力を奪われたほうが慈悲だっただろう。こちらの目に映るものは全て色褪せ朽ちて、おぞましく醜い姿を曝す」
 旧友の告白に、デキウスはしばし言葉を失った。
 ルベウスは聖界で神を称えた芸術品を地上から探し出し、地上で神の奇跡を起こす依りしろとなるものを献上する任を負っていた。それだけに彼の審美眼は神々からも愛でられ、誰もが一目を置くほどで、実際彼自身もそういったものを激しく好んだ。
 美しさを求めるあまり、神の意には沿わぬものを選ぶほどに。善でも愛でも優しさでもなく、神を称える祈りでもなく、闇から生まれたものも美しければ彼は是としたのだ。
 それが重なるにつれ、彼は寵児から異端者の扱いに傾いていったが、それでも自分の美に対する絶対的な価値観を手放さなかった。
 そしてとうとう聖戦の直前に神を面前で愚弄するような品を献上したのである。それはその場の一同が息を呑むほどに美しく素晴らしいものだったが、真実が暴かれたときに神の怒りを買った。おそらくそれゆえの傷であり、再生の呪いなのだ。
 抉れど潰せど、神の力で激痛を伴って再生し続ける眼球。右目に映るものは朽ちた姿しか曝さないという残酷な罰。力を誇示し、罰を与え、失望に陥れるのは神の好むやり方だ。
「だから抉ったのか。しかもお前はすぐに済む、と言った。どうなるかわかっていたということは、これが最初じゃないな?」
 ルベウスは黙して頷く。
「馬鹿め……」
 デキウスは背の痛みに顔を顰めつつも体を起こし、ルベウスの顔を肩に抱いた。
 いつもなら払うであろう抱擁に、眉を寄せるだけの反応にとどまったことが旧友の心の動揺の深さを窺わせる。
「次に抉れば、二度と再生しないのではないかという考えから逃げられぬ。そして試さずにはいられないのだ。己の弱さに反吐が出る」
 ルベウスはそう呟くと自嘲気味に唇を歪め「だが」と続けた。
「お前の闇の気が触れたとき、常より痛みが幾分抑え込まれた気がした」
「あの様子じゃそうは思えんがな」
 デキウスは痛みを耐えるために舌に立てられた牙の感触を思い出し、思わず指先で触れて確かめた。すっかり癒えているうえに、背の痛みも多少良くなっている。
 負傷し弱っている状態で聖族の気に触れたのだから、悪化していても不思議ではない。理由として考えられるのは、舐め取ったルベウスの血だ。
 彼は古の竜の体内で育つ紅玉が誕生の由来だったと聞いた覚えがある。智恵と力と生命そのものが石になったと。そして五神の一柱であるシャリートはその王であり、ルベウスの庇護者であり、魔界にいる。
 道理で、とデキウスは薄く笑う。
 ルベウスは手を背中に触れさせて、ゆるゆるとエネルギーを分け与えてくれていたが、血や体液はもっと効果が濃い。ヴァンパイアがエナジーとして血を好むのと理由は似ている。もっともそんなことは聖族では禁忌の中の禁忌で、肉を纏った体に触れることが最大の非礼だったが。
「私の目は再生するが、お前の背の具合はどうなのだ?」
「自分で毟り取っておいて、その言いようか」
「だから心配してやっている。魔界の花から採れたらしい酒をもらってきた。多少助けになろう」
 ルベウスはそういうと、装飾の無いオニキスのグラスに注ぎ無造作に勧める。デキウスはいつものような高飛車な物言いの旧友の顔を覗きこむと、
「気になるなら、キスでもしてくれるといいんだが?」
 と尋ねた。二人の間に恋愛感情などあったことはない。性的に触れたこともない。
いや、正しく言えばデキウスがそのつもりで何度触れても、ルベウスからは肉体的な反応以上にあったためしがなく、それの再現を求めることもなかった。彼は肉欲の必要性に対する理解は薄い。冷め切った眼差しで交わりを見ていたこともある。先ほど交わしたものは、血と怒りと痛みで興奮しただけのようなものだ。あからさまに瞠目する表情がおかしくて、さらに顔を近づける。
「触れてエネルギーを分けてもらうより、お前も俺も効率がいい」
「揶揄っているのか」
「冗談ではない。むしろ知らないのか?」
 確かに天界で魔族の討伐に赴くときは後衛の聖族が回復を担い、天界へ帰れば神の恩寵で大抵の傷は癒された。自分たちが持つ自己回復能力を超えて誰かにそれを頼む機会も殆どないのだ。せいぜいがルベウスがしてくれていたような、接触で事足りた。
「キスは知っているが……」
 それ以上のルベウスの沈黙を肯定と受け取り、デキウスは「じゃあ試してみろ」と誘うように花の酒で唇を湿らせて触れさせた。馴染みのない味だが、悪くはない。
 ルベウスは逃げる様子は無いが、目を伏せる様子も無い。むしろ物珍しげに間近なデキウスを見ている。
 性的に仕掛けようとしているわけではないが、デキウスはルベウスの顎を支えてさらに舌先で唇を割った。
「口を開けてくれ、すこし――」
 唇を離さずに軽く触れさせたまま声にならない囁きで頼めば、歯列は従順に開かれた。
 舌を潜り込ませ、口蓋をなぞる。柔らかな内頬を辿り、舌を掬う。
 すぐにルベウスはそれに応え、熱く絡めてきた。そして小さな牙が舌を掠めると、デキウスにぞくりとした快感の戦慄が走る。その牙に舌を押し当てると、ルベウスは意図に気づいたのか、焦れったいほどゆるゆると力をかけてきた。
 鋭い痛みが長く続き、やがてぷつりとそれが突き刺さった感触で思わず仰け反り、ルベウスの頭を支える両手に力が入った。
 その反応にルベウスがさらに自分の口腔内で混じった血と唾液をデキウスの方へ押しやってくる。気づけばこちらが蹂躙されて床からルベウスを見上げていた。
 顔を傾け、さらに深く舌を差し入れてくる。お互いの歯がカチリと当たった。
 何か感じているわけではなさそうだが知らずに息を止めていたのか、ルベウスが、「んっ」と漏らした声が艶めかしい。
 重ね、吸いあったせいだけでなく、口唇が濡れて赤いが、顔を上げたルベウスの薄蒼い眸はぞっとするほど冷静だ。口端から血の混じった唾液が滴り、糸を引く。
 デキウスは求めていたものを飲み込み、ルベウスの唇についたものは舐め取った。傷ついた背中を下にしているので、良くなっているのか悪化しているのかわからないが、とにかくまだ激しく痛む。それでも
「もっと必要か?」
 とルベウスが見下ろした姿勢で事務的な口調で尋ねる言葉に苦笑しつつも、腕を伸ばして頭を引き寄せた。
「むしろお前の血が欲しい」
 ルベウスは傍らにあったナイフで己の左の指先を傷つけ、血が流れ出すのをじっと見ていた。それをデキウスの下唇に塗り、命じられたわけでもなく指を差し込む。
 デキウスは指に歯を立て、さらに傷を抉るようにして血を啜り、音を立ててしゃぶる。
 冷たく睥睨していたルベウスの表情に、何かが点った。
 肉体を通して快楽を得るという、かつてデキウスが慣れ親しんだ状況が目の前にある。そしてそれが傷を癒すこともわかっている。聖界にいたときに、アストラルではなくもっとも非礼であるという肉体に触れるということを許したのもルベウスだった。ただ驚くほどに無関心だが。
「お前の翼を毟り取ったときにも、そう言えばくちづけた。あれはなにゆえだろう?」
 他人ごとのように告白する旧友に、失笑を禁じえない。ルベウスは気づいていないのだろうが、血で高揚するのだ。聖界にいたときから。
 恐らくそれが彼の性的な欲望に結びついている。キスや抱擁を交わすよりも確実に火をともす。
 体温を感じ、舌で味わい、欲望の熱を自覚するのはいったいいつ以来か?
 デキウスがぼんやりと考えたときに、ふいに闇が活性化するのを感じた。力と共に休息と治癒を要求して抗いがたい眠りに引きずり込もうとする。
 ルベウスの唾液と血を得て、あるじを癒す力を増強させたのだろう。もっと言えば、精をもらえればよかったのだが。この無関心な友人はどう応えただろうかと思うと笑いがこみ上げる。
 眠りの波に呑まれる前に、とデキウスはルベウスの髪に指先を絡めて引き寄せた。
「次に眸を抉るときは、俺がいるときにしろ……」
「見せたくない」
「無力感はおのれを弱くする」
 ルベウスが怪訝な顔をしたところで、デキウスの瞼は閉じられ、髪を絡めていた指は力を失い、ぱたりと床に落ちた。
 見る間に闇に包まれていく。
 再生の時間だ。
 オニキスのグラスに残っていた酒を含むと、そっとデキウスの喉へ流し込む。 気づけば右目の傷の疼きは幾分和らいでいた。
 デキウスの言葉は嘘ではないようだと薄く笑うと、自分の唇に指先で触れる。


 唇を重ねた向こうに確かに何かあったと思いながら。








あとがき

これはデイリーで出るお題の
号泣しながら」「髪を撫でる」。キーワードは「夏」
のテーマで書いたものです。

二人とも「泣く」という感情表現をするタイプではないので随分悩みましたが^^;

こんな感じでそろそろ1週間、毎日お題を二つ書いてます(笑)
自分の書くもので萌えていただき、さらに萌えの小説が返ってくるので楽しくてしょうがない日々w

書きたいテーマは長くなる傾向。もうどこが140文字、あるいは372文字規定なんだとw

どうせこの二人の話は殆ど書いてないので、過去を確認しながら出せそうなものは再利用で~
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~ Comment ~

NoTitle

BLも文化ですからね。
いいと思います。
こういう馴れ初めも・・・見る分にはいいです。
自分では作れないものを作れるのは素晴らしいと思っておりますので。
(*^_^*)

LandM さま>

こめんとありがとうございます!

ぎあーーー(笑)
顔から火がでますわ!!ヽ(´Д`;)ノ

びーえるなどという言葉の無かった時代の人なので(笑)、昨今のあのノリにももう一つついていけませんけども!
一応それっぽいのは前書き注意置いて展開しますので、どうぞ跨いでくださいね!^^;
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